Hanpu Li 李函璞

菩薩蛮の調べ · 花間集の詞風にならって

詞

初稿

《菩薩蠻 · 效花間體》

一奩互綰雲鬟墮,啼妝不待真珠涴。 綵帛束蜂腰,點脣相試調。 人前儂斂目,金鳳低冠伏。 對面畫雙眉,終同簪作笄。

菩薩蛮の調べ · 花間集の詞風にならって

一つの化粧箱を前に、互いに雲なす髪を結い、髷は低く垂れる。 啼妝は、本物の真珠がよごすのを待つまでもない。 色絹が蜂のように細い腰を締める。 唇に紅を点して、互いに色を試しては調える。 人前で、私は目を落とす。 金の鳳は冠羽を低くして伏す。 向かい合って、両の眉を描く。 ついには共に、簪を笄とする。
訓読・書き下し文

菩薩蛮 · 花間の体(たい)に効(なら)う

一奩(れん)に互いに綰(わが)ねて雲鬟堕ち、啼妝は真珠の涴(よご)すを待たず。 綵帛蜂腰を束ね、脣を点じて相試み調う。 人前に儂(われ)目を斂(おさ)め、金鳳は冠を低(た)れて伏す。 対面して双眉を画き、終に同(とも)に簪を笄(けい)と作(な)す。
  • 「奩」は化粧道具を入れる箱で、「れん」と読む。
  • 「綰」は、この書き下しでは髪を巻いて結う意で「わがぬ」と訓む。
  • 「涴」は、この書き下しでは汚れを付ける意で「よごす」と訓む。
  • 「調」は平声で、色を調える意。この書き下しでは「ととのう」と訓む。
  • 「儂」は一人称で、この書き下しでは「われ」と訓む。
訓点校注(編集)
  • 「啼妝」「雲鬟墮」は『後漢書』梁冀伝に見える孫寿の「啼妝」「墮馬髻」による。啼妝は目の下を薄くぬぐって泣いた跡のように見せる化粧、墮馬髻は髷を片側に傾けて垂らす結い方。「真珠」は涙のたとえ。
  • 「金鳳」は鳳をかたどった金の釵(かんざし)で、「冠」はその冠羽。
  • 「笄(けい)」は髪を留める具で、『説文』に「笄は簪なり」とある。